データサイエンスで拡がるDXの可能性と業界関係者からの期待

データサイエンスで拡がるDXの可能性と業界関係者からの期待

yukiyama

2023.12.27

第1回目ではユキヤマとユニリタが取り組むデータサイエンスについて両社の視点でプロジェクトの意義や目標をお伝えしました。2回目となる今回はデータサイエンスと今後のユキヤマが提供するサービス・アプリへの期待を「スキー場・スノー関連のサービス提供者・アプリのユーザー」の3つの視点でご紹介します。

データの可視化で事故を未然に防ぐ

東急リゾーツ&ステイ株式会社 スキー運営統括部 山崎真也様

スキー場の施策を考える上で、他のスキー場と比較して「我々のスキー場がどういう立ち位置なのか」ということを把握することが非常に大事です。そういった意味ではyukiyamaアプリ上でスキー場がユーザーによって評価され、相対的に自分たちのポジションが分かるのは非常に有益です。

山崎様は長年スキー場の運営に携わってきた

データサイエンスの一番の特徴は、来場者がそれぞれyukiyamaアプリをスマホに入れていて、その動向をGPSで追えているという点です。我々にはそれができないので「どの時間帯にゲレンデのどこでお客様が楽しんでいるか」というデータが分かると、ゲレンデの楽しみ方や、安全・安心に関する取り組みを的確にお客様に提供できると思います。

yukiyamaアプリで集まってくる情報や意見は、フィールドを提供する側のスキー場にとって非常に有益な情報なので、今後もユーザーに寄り添ったアプリの提供をお願いしたいですね。そこで収集した意見を活用して的確にスキー場を運営がすることができれば、業界全体の底上げもできるのではないかと思います。

スキージャム勝山は関西屈指のコースバラエティの豊富さと雪質が魅力

データの組み合わせで広がる遊びの提案

ジャイロテクノロジー株式会社 代表取締役 武藤敬介様

スノーボードに関するサービスを提供しています。具体的にはスタンサー、モーショングラビティといった身体や足裏の測定データを解析するサービスです。出力されたデータをユーザーが理解しやすい形で可視化して、スノーボードの楽しみ方を広げたいと思っています。独自の切り口で我々にしか出せないようなコンテンツを作って、それを世に出していくというのがコンセプトです。データという切り口でいうと、スキー・スノーボードのパーソナルデータをyukiyamaは多く保有していると思うので、今後どういったサービスを展開していくのかを楽しみにしています。

ジャイロテクノロジーが手がけるスタンサー

───yukiyamaが保有しているデータはご自身のビジネスにも活かしていけそうですか

はい。既にyukiyamaアプリ内に『STANCE.LAB』というコンテンツがあって、スタンサーの測定データをアプリ内で確認することができます。測定の平均が取れたり、可動域の結果に合わせて、シチュエーション別にセッティングを提案するような機能もあります。現時点では完成形に近いところですが、今後もっと掘り下げられるところもあります。

yukiyamaアプリ内のSTANCE.LABの画面

yukiyamaアプリのパーソナルデータと滑走履歴・滑走の傾向などをかけ合わせて分析することができれば精度の高い「遊びの提案」が提供できると思います。例えば、お店に行ってスノーボードを買う時に店員さんに相談すると「どんな滑りが好きですか、どこのスキー場に行くんですか、どんな滑りをするんですか」みたいな形でヒアリングされますよね。相談した人は、お店の人の経験・知識に基づいていろいろな提案を受けて、それを参考にして行動します。それと同じようなことをyukiyamaアプリで取れたデータと我々が提供している測定データを組み合わせればできると思っています。滑走の履歴や傾向と身体のデータに基づいて「あなたにはこのギアがおすすめです」「このスキー場はどうですか」みたいな形でこちらから情報を提供することができれば、遊びの選択肢を増やせますよね。それに従うか従わないかは最後はユーザーさんの判断ですが、きっと参考になると思いますし、もしかしたらそこに新しい発見があるかもしれません。対話の中では掘り下げきれなかったり漏れがちな部分を深く掘り下げられるのがデータのいいところだと思います。

常識にとらわれない発想で新しいサービスを展開

───現時点ではどれくらいプロジェクトは進んでいますか

『STANCE.LAB』は現在4シーズン目です。毎年ブラッシュアップしていて、より精度の高いデータが取れるようになってきています。スタンサーのアプリ内では推奨ギアの提案も既にやっていて、そこでyukiyamaアプリの滑走データを組み合わせてみたいなと考えています。次のステップですね。

「全てデータで分析して、それに従う」という形になってしまうとおもしろみがなくなります。スキー・スノーボードはフィールドで五感を使って体で感じて楽しむというアナログな体験です。だからこそ、フィールドで楽しむ前の準備段階の部分ではデータを活用してみて新たな気づきを得てそれをフィールドに持ち込んでもらえたらいいなと思っています。

───今後、一緒に取り組みを行っていくユキヤマへ一言お願いします

恐らくyukiyamaアプリが日本国内において、最もスキー・スノーボーダーのパーソナルデータを保有するサービスになると思います。yukiyamaアプリが発展していくスピードを追い越すようなコンテンツはそう簡単に出てこないでしょう。パイオニアとして大変な部分もあるだろうけど、それを乗り越えてオンリーワンのサービスになってもらいたいです。スキー・スノーボードの楽しみ方の幅を広げる台風の目になってもらって、そこに関わるスキー場やメーカー、企業が新しいことに挑戦できるような環境が作れるようになれれば、さらにおもしろくなると思います。

ジャイロテクノロジー代表の武藤様とユキヤマ代表の岡本

アプリ上でリアルタイムの更新される情報の価値

yukiyamaアプリ ヘビーユーザー えすぺゆきさん

リアルタイムに混雑状況やコンディションの情報がデータで可視化されたらより便利だと思います。ライトなユーザーさんほど一回の体験の質はすごく重要だと思うので、各施設の混雑状況だったりコースの混雑具合が分かれば「空いてる時間に滑ろう」みたいな形でマイナスな体験を避けられそうです。

ゲレンデ飯についての配信が人気。メディアへの露出も多い

───yukiyamaアプリを使っている理由を教えてください

GPSで自分の滑走を記録できること、知り合い同士で位置情報を共有できるところが使い込んでいる理由です。特に、滑走距離やチェックイン回数の他のユーザーと比較したランキングが出たりするので、上位に入っていると声をかけられたりすることもあるので嬉しいです。GPSのトラッキングを残すだけなら他にもアプリはあると思いますが、仲間と楽しめて共有できる部分が好きですね。yukiyamaアプリ内で「あの人、今日はあのスキー場滑ってるんだな」とか分かるのが面白いです。

yukiyamaアプリ上で滑走者の現在地が分かる

───今度どのような機能が追加されると嬉しいですか

スキー場のコンディションや状況が分かるといいですね。「昨日はどうだったんだろう」と思った時に簡単に見れると使いやすいです。お気に入りに登録してるスキー場の情報が自分のタイムラインにパッと出てくるみたいなUIだといいですよね。そういうのがあるともっと便利です。Google mapで表示されるような「普段よりも混んでるかもしれません」くらいの温度感で出てくるといいんじゃないでしょうか。ユーザーは、プロモーションじゃないリアルな情報が知りたいですよね。

───yukiyamaアプリがある時とない時で楽しみ方に変化はありましたか

他のユーザーの動向を見て「行ったことがないスキー場に行ってみようかな」と思ったりします。今までは様々な媒体で調べて「このスキー場はおもしろそう」と思ったところに行ってみて、その後SNSで記録を残していました。今は、yukiyamaアプリでどこに行ったかの履歴を残しつつ画像付きでコメントが残せるので、そういう活動が非常にやりやすくなりました。もしかしたら無職になった原因の何割かはyukiyamaアプリにあるかもしれませんね笑

えすぺゆきさんはyukiyamaアプリの上位記録者

第3回ではユキヤマ代表取締役の岡本とユニリタ代表取締役の北野様の対談をご紹介します。
【第3回】スキー場の経営改善を促すデータの価値とは丨データサイエンスで実現するスノーリゾートのDX【ユキヤマ×ユニリタ社長対談 】

前回記事
【第1回】スノーリゾートのDXに挑む、ユキヤマとユニリタのデータサイエンスの取り組み