「固定観念を捨てた先にたどり着いた前振りスタンス」相澤亮がたどり着いた、自由なセッティングとは丨STANCE. LAB LIBRARY Vol.12

「固定観念を捨てた先にたどり着いた前振りスタンス」相澤亮がたどり着いた、自由なセッティングとは丨STANCE. LAB LIBRARY Vol.12

yukiyama

2026.03.24

スタンスやセッティングについて、ライダーそれぞれの考え方に迫る STANCE. LAB LIBRARY。第12回は、スタイルに縛られず表現を続けるスノーボーダー、相澤亮さんに話を伺いました。

インタビューでは、ダックスタンスから前振りへと変化した理由や、現在のセッティングに至った背景について掘り下げています。独創的なスタイルは、足元のセッティングにも色濃く表れています。

スタンスを前振りに変えたきっかけ

現在の相澤さんのセッティングで最も特徴的なのが、両足のバインディングを前方に向けた前振りの設定です。かつてはダックスタンス(前足がプラス、後足がマイナス)で滑っていましたが、数年前から現在の形に変わりました。

「今は前がプラス24度で、後ろがプラス6度です。もともとはダックで、後ろマイナス9度とか12度だったんですけどね」

このセッティングに行き着いた理由は、あくまで直感的なものだったといいます。

「スケボーの映像とかよく見てたんですが、フリーフットだからスタンスが両方、前を向いてるじゃないですか。サーフィンもそうだし。一回、それをやってみようかって適当に一本やったら、そこからハマりました」

スイッチではなくフェイキーとして滑る

スノーボードでは、スイッチでもメインスタンスと同じように滑ることが重視されがちです。しかし相澤さんは、スケートボードやサーフィンの感覚をベースに考えています。

「スノーボーダーはスイッチの滑り方を気にするけど、スケーターはフェイキーはフェイキーっぽい滑り方をしますよね。僕もそんな感じのイメージでやってます」

前振りのスタンスにすることで、メインでのターンは理想に近づきます。一方で、スイッチからメインに戻る動きには独特の加速が生まれ、それがフェイキートリックのスタイルにもつながっているといいます。

「スイッチバックサイドの回転は壊滅的にやりづらいんですけど、高回転を狙わなくなったので、それでいいかなと思っています」

こだわる部分と気にしない部分

スタンス幅や取り付け位置についても話を聞いてみました。

「バインディングは、ディスクの限界まで後ろ側に下げて付けてます。進行方向に対して後ろ側ですね」

取り付け位置には明確なこだわりがある一方で、センタリング(ブーツが板の中心にあるか)といった細かい数値には、あまり意識を向けていないといいます。

「センタリングに関しては細かいことは気にしてないですね。よく見たらめっちゃかかとが出てて『これ直した方がいいんかな』って思うこともありますが、そんなに影響を感じたことがないです。強いて言うなら今は若干ワイドな板を使っているおかげでそこまでドラグ(エッジを立てた際にブーツが雪面に触れること)していないかもしれません」

見た目から始まったスタンス幅の考え方

スタンス幅についても、相澤さんなりの基準があります。

「最近は48cmくらいかな。実は測ってなくて、完全にフィーリングですね」

48cmという数値は、一般的にはやや狭めの設定です。

「初めは本当に見た目から入ったんですよ。狭めたほうがシルエット的にしっくりくんじゃないかなって。そしたら意外と滑りやすかったし、ターンもしやすくて楽だなと。スケート、サーフィンも基本は足元がすごく狭いじゃないですか。それとの融合なのかなと思っています」

見た目から始まったスタンス幅ですが、結果として操作性や滑りやすさにもつながっていきました。一方で、フィールドに応じた調整も行っています。

「基本は狭いのが好きなんですけど、撮影でバックカントリーに行く時とかは、安定感が欲しいのであえて2cmくらい広げたりもしますね。その時のコンディションに合わせて、自分の感覚で微調整しています」

固定観念を捨てたことで変わった滑り

もともとは後ろ足0度のまま、膝を内側に入れる滑りをしていたといいます。スノーボードではスイッチも滑るならダックスタンスという考え方が一般的です。しかし相澤さんは、その前提を疑ったことが今に繋がったといいます。

「ダックスタンスが当たり前だと思ってたし、周りもみんなそうだったから。でも、一回その固定観念を捨てて、適当なノリで前振りにしてみたんですよ。そしたら、めちゃくちゃ調子良くて。結局、やってみないと分からないんですよね」

これまでの常識や評価よりも、自分の感覚を優先したといいます。

なにかを得るために、なにかを手放すスタンス論

全方位的に完璧な滑りを実現できる数値は存在しないと考えています。

「何かを得るためには、何かを捨てなきゃいけない。スタンスは、まさに『等価交換』だと思っています。全部を100点にするのは無理だけど、自分がどこを一番大事にしたいか。そこを突き詰めるのが面白いんです」

何を優先し、何を手放すのか。スイッチバックサイドのやりやすさを少し手放した代わりに、ターンの質や自分が求めるスタイルを手に入れる。その選択は、滑りだけでなくライフスタイルにも表れています。

ノーグローブスタイルの意外な理由

余談ですが、相澤さんといえば、グローブをつけないノーグローブスタイルも印象的です。ノーグローブの理由も聞いてみました。

 「自分が小、中学生くらいかな。昔からかっこいいなと思ってた先輩方が革ジャンにノービーニー、ノーグローブで滑ってた事が衝撃的で、それの影響かもしれません。ちなみにその方々のスタンス幅は今の僕より狭かったですね」

最後に、相澤 亮さんのセッティング数値

「後ろのスタンスを少しでもプラスに振ったら、ターンはめちゃくちゃしやすくなりますよ。今はダックスタンスには戻れないですね」

【セッティング数値】

スタンス幅:約48cm

スタンス角度:前+24°、後+6°