
スタンスやセッティングについて、ライダーそれぞれの考え方を特集する STANCE. LAB LIBRARY。今回は、フリーライドを主軸に活動を続ける佐藤亜耶さんに話を伺いました。
競技シーンを経て、バックカントリーやフリーライディングへとフィールドを移してきた佐藤さん。滑る場所や雪質が変わる中で、スタンスやギアに対する考え方も少しずつ変化してきたと言います。

近年の活動と滑るフィールドの変化
「ここ数年で一気にバックカントリーとかフリーライディングっていうフィールドに移りました」
スロープスタイル中心だった頃と比べ、現在は歩いて滑るバックカントリーや、急斜面・シュートといったシビアな地形を滑る機会が増えています。昨年はNatural Selection Tourの出場が決まったこともあり、より急斜面を意識するようになりました。
「最近は海外で滑っていることも多いです。昨シーズンは雪が多くて、滑走の多くがパウダーコンディションでした。逆に圧雪バーンが恋しくなるくらいでしたね」

ギア選びで最も大きかった変化:ボード
滑るフィールドが変化する中で、大きく変わったのはボードの選択です。
「バックカントリーに入り始めた最初の年は、ツインチップの板をセットバックして滑っていました」
その翌年、本格的にディレクショナルボードに乗ったことで、滑りの感覚が大きく変わったと話します。
「初めてちゃんとディレクショナルに乗った時、めっちゃ楽じゃんって思いました。ディレクショナルにしたことで、一気に滑りが変わった感じがしましたね」
ボードサイズとバランスの考え方
佐藤さんの身長は158cm。現在使用しているボードは146cm前後です。
「長さよりも、太さとのバランスのほうが私には大事でした。フリーライドボードは、長くなるほどウエスト幅も太くなりがちです。そのため、操作性とのバランスを重視しています。わたしと同じ身長くらいの方なら、もう1サイズ下げてもいいかもしれないですね」

ブーツとバインディングの組み合わせ
ブーツは硬めを選ぶ一方で、バインディングはミディアムフレックスのものを組み合わせてるそうです。
「どっちも固いと、板の良さを出し切れてない気がして、バインが少ししなやかに動いてくれるほうが、滑りの微調整が効く感じがします」
硬さのバランスを意識することでボードの反応を活かしやすくしているそうです。
スタンス幅とアングルの変化
スタンス幅は、パークがメインの時は少し広めにしていましたが、フリーライドに移行するタイミングで考え直したそうです。
「考え直してみたんですけど結局、スロープスタイルの競技者時代とほぼ同じくらいの幅に落ち着きました。でも、なんとなく見た目と取り回しを考えて少しだけ狭くしましたね」
一方で、アングルは大きく変わっています。
「スロープ時代は3°/-3°か6°/-6みたいな、前後で均等な角度にしていました。今は前足を21度くらいまで振っています。オールマウンテンでの滑りを考えると、やっぱり前を少し振ったほうが滑りやすいなって思います」
感覚派だからこそ、ときどきスタンスを見直してみる
佐藤さん自身は、基本的に感覚派でそこまで数値は意識していないそうですが、感覚派の人ほど時々スタンスの数値をチェックすることが大事だと言います。
「板を変えた時や、調子が上がらないなと感じる時、スタンスを見直すことで状況が変わることもありますよ。今日はダメだって諦めがちなんですけど、意外とセッティングで持ち直すことがあります」
勝負の一本で、あえて緩めるという選択
インタビューの中で、「まだ人に話していないことで、最近なにか気づきはありましたか?」と聞いてみると、佐藤さんなりの調子をあげる工夫を教えてくれました。
「バックカントリーやフリーライドでジャンプが入りそうなラインの時は、ブーツもバインも少し緩めてからドロップインします。そのほうがトリックしやすいですし、足元も柔軟に動くんですよね」
勝負どころの一本であえて緩めるというのは、なかなか出ない発想に思えます。
「一本勝負の場面って、力が入りすぎてることが多かったりします。そういう意識だと、ブーツを締め過ぎたり、バインのラチェットをキツくし過ぎていて、実はいつもの感覚から遠ざかっている可能性もあります。緩めるのは不安かもしれませんが、そういう状況の時は集中力が高まっていて、そのルーズさも意識でカバーできます」

最後に:佐藤亜耶さんのセッティング数値
自身のことを感覚派だと話す佐藤さんですが、競技者時代は毎日のように足回りのセッティングを見直していたそうです。
「自分の基準の数値を知っておくという意味で、STANCERで測定した数値は頭にいれています。でも、一番大事なのはやっぱり自分の感覚ですね」
佐藤さんのセッティング数値
スノーボード:146cm前後
スタンス幅:50.5cm
スタンス角度:前21°/後-3°
