「スノーボードが下手にならないためのスタンス論」いぐっちゃんの考え方丨STANCE. LAB LIBRARY Vol.9

「スノーボードが下手にならないためのスタンス論」いぐっちゃんの考え方丨STANCE. LAB LIBRARY Vol.9

yukiyama

2025.11.25

スタンスにまつわる話を特集するSTANCE. LAB LIBRARY、第9回はインフルエンサーのいぐっちゃんを特集。この連載では、スノーボードのスタンスやセッティングについて、ライダーごとの考え方を紹介しています。今回はシーズンを通してほぼ毎日滑り、レッスンやギア開発にも取り組むいぐっちゃんに話を伺いました。

スタンスとセッティングの捉え方

「スタンスが合っていないと、練習しても下手な方向に積み上がってしまうんです。スノーボードは調子が悪い理由が分かりにくいスポーツです。フォームを疑う前に、まず道具が身体に合っているかを考える必要があると思っています」

セッティングがずれたまま滑り続けると、動きの癖にも影響が出る可能性があります。だからこそ、「下手にならないためのセッティング」を考えることが大切だといぐっちゃんは話します。

スタンスは角度の組み合わせではなく、合計値で考える

一般的には「前足◯°/後足◯°」の組み合わせで考えがちですが、いぐっちゃんの基準は少し違います。STANCER を使って日々測定する中で、「右足と左足の角度を足して 27〜33° の範囲に収まると調子が安定する」という傾向に気づいたそうです。

※27〜33°はいぐっちゃんの基準の数値です

「合計値がブレなければ、角度の組み合わせ自体はそれほど問題になりません。合計値を基準にすることで、その日の目的に合わせて前振りにもダックにも調整しやすくなり、身体の可動域が大きく崩れにくくなる実感があります」

サンデーボーダーにこそ必要な「変えすぎない」という考え方

いぐっちゃんはほぼ毎日滑るため、スタンスを固定せず、その日の条件に合わせて細かく調整しています。しかし、一般のスノーボーダーの滑走日数は限られており、毎回スタンスを変えることは現実的ではありません。むしろ、変えすぎることで調子が安定しなくなる可能性もあります。

「まずは自分のニュートラルポジション(自分の体の基準値)を知ることが大事です。一度 STANCER で測って基準となる合計値を把握することが、いちばん早い方法だと思います。感覚だけでは分からなかった部分が見えるようになります」

スタンス角度以上に滑りに影響するアンクルストラップ

今回のインタビューで、「まだ人に話してないことで最近気づいたことはありますか?」と聞いたところ、このアンクルストラップについての気づきを話してくれました。

「実は、アングルよりもアンクルストラップの締め具合のほうが滑りに影響するのではないかと思っています。ストラップは足首の動きを直接制限する部分で、ブーツのへたり具合や角度との相性で、同じ締め方に見えても微妙にズレていることがあります」

いぐっちゃんはストラップに印をつけ、毎回締める位置を確認する方法を試しているそうです。その結果、わずか 1〜2 メモリの違いが滑りの感覚のブレにつながっていたことが分かったと言います。

「スタンス角度や幅に目が向きがちですが、ストラップの締め具合を一定にするだけで滑りの安定感が変わることに気づきました」

自分のベストなスタンスを知るための“計測という作業”

いぐっちゃんは、自分の角度や可動域を一度数値として把握しておくことが重要だと考えています。

「感覚だけでセッティングを語るのは再現性がないと思っています。『自分は STANCER の数値のこの範囲から外れると動きづらくなる』と説明できると、相手も理解しやすいと思います」

普段の滑りにおいても、基準値を持っておくメリットは大きいと言います。

「シーズン中に何回も STANCER で測る必要はありません。一度計測しておくだけでも調子の波が減り、無駄に迷う時間が少なくなります」

下手にならないことをまず考えてみる

取材の最後に、いぐっちゃんは、スタンスやセッティングを考えるうえでの軸をこう話してくれました。

「スタンスには明確な正解があるわけではなく、調整を続けていくものだと考えています。ぼくはよく『セッティングは滑りの土台を整える作業』と話しますが、その認識がとても重要です。自分の角度や可動域の基準値を把握していれば、調子の良し悪しの判断がしやすくなり、迷いも少なくなります。それは上達の近道というより、まず『下手にならない状態』をつくるために必要な準備だと考えています。結果的にそれが上手くなることに通じていきますし、そもそもあえて下手になりたいという人はいないですよね。」

様々な組み合わせを試す

最後に:いぐっちゃんのギア選びと調整について

この記事の最後のまとめとして、いぐっちゃんが普段どのようにギア選びやセッティング数値を、参考として紹介します。

「これはあくまで私自身のやり方ですが、その日に行くゲレンデやエリア、いっしょに滑るメンバー、予想されるコンディション。この3つの変数で、その日のギアを決めています。そこから、STANCERで把握している自分の基準値に合わせてセッティングを調整しますね」

いぐっちゃんのセッティング数値

身長:168cm

体重:67kg

板の長さ:151cm

スタンス幅:53cm(くらい)

スタンス角度:9°、−6°

※その日のコンディションで変わるので参考数値です

その日の状況に合わせたギア選びと、自分の基準に沿ったセッティング。いぐっちゃんはこの流れを習慣化することで、滑りの再現性を高めています。