「スノーボードを自由に楽しむためのスタンス」千葉真人が語るセッティング論 | STANCE. LAB LIBRARY Vol.8

「スノーボードを自由に楽しむためのスタンス」千葉真人が語るセッティング論 | STANCE. LAB LIBRARY Vol.8

yukiyama

2025.03.25

スタンスにまつわる話を特集するSTANCE. LAB LIBRARY、第8回は、プロスノーボーダーの千葉真人(以下、マナトさん)にお話を伺いました。ストリート撮影からパークライディング、さらにはYouTubeやブランド運営まで幅広く活躍しているマナトさん。マルチに活躍し忙しい中でも、自身を滑りで表現する活動も高いレベルで続けています。今回はフリースタイラーならではの視点で、スタイルについて語っていただきました。

千葉真人(以下、マナトさん)

オールラウンドなライディングスタイル

「最近はずっと数年、ストリートの撮影をしたりしています。メインはやっぱりゲレンデでのフリーライドとパークライドをメインでやっていて、ジブが好きというイメージはあるかもしれませんが、ジャンプも好きでトータルに楽しんでいます。今シーズンは雪が多かったのでナチュラルの撮影もやりました」

シーズン中は妙高杉ノ原スキー場でパークを運営し、春からはアライリゾートのパークも担当。スノーボードに関わる仕事もマルチにこなすプロライダーです。

杉ノ原のディガーとしてイベントをオーガナイズする Photo @tontontonko345

千葉真人のスタンス・セッティング

「ここ数年はスタンス角度は『+3°、-3°』でやっています。スタンス幅は、自分がよく映像を見ている外国人ライダーのスタンスが狭いというのもあって、それにもちょっと影響されて、狭めにセッティングしています。具体的な数値でいうと、スタンス幅は『50cmから48cm』ぐらいですね」

参考:千葉真人スタンス

身長:175cm 

板の長さ:153cm〜155cm 

スタンス幅:48cm50cm 

スタンス角度:+3°、−3°

ROMEの板を愛用している

今のセッティングに行き着くまでには、怪我後に意識の変化もあったと話します。

「スタンスはやっぱり昔の方が広くて、52cm~54cmぐらいにしていました。アングルも9°、-9°とか12°、-12°とかでした。でも、5年前ぐらいに前十字靭帯の再建手術をしてから、膝にかかる負担が気になって、スタンス角度をできるだけ開かないように意識をしています」

スタンスを考えるときに大事なのは「見た目の美しさ

スタンスを決める時、全体のシルエットを含めた見た目の美しさは非常に重要。現在のセッティングは、海外のライダーのシルエットを参考にして文字通り、形から入ったそうですが、逆に広いスタンスだと違和感を感じるほど馴染んでいるそうです。

「スタンスを狭めた最初の方は、慣れてないこともあって違和感がありましたが、最近は逆にスタンスが広い板に乗ったりすると、逆に違和感を感じたりするようになりました。細かいことは気にならない方ですが、スタンス幅は結構シビアに調整しています」

STANCERで見る可動域

STANCERでは特に可動域の数値を意識していると語ります。

「STANCERは年に1〜2回程度、測定しています。海外ライダーの形に近づけるような感じで現在のスタンスのセッティングになりましたが、実はSTANCERで出る数値もほぼ同じなんです。STANCERでは、スタンス幅や角度を見るというより、どちらかというと可動域の数値を重視しています。自分の可動域のニュートラルポジションを知って、体の状態を知っておくことが大事ですね」

ギアへのこだわり

板のフレックスやブーツの硬さなどのギアの部分も重要だと話します。

「スタンスやセッティングも重要ですが、道具選びも同じくらい大事だと思っています。具体的にギアの話を少しすると、ブーツはちょっと硬めで、板のフレックスが柔らかい方が好きですね。足元は硬めのセッティングにして板のフレックスを最大限に引き出せるような組み合わせを重要視しています。」

板のフレックスは自由な動きができる硬さが好みだそうです。

「硬い板は安定するってよく言われますが、自分の中では割と柔らかい板の方がハイスピードでも好きだったりもします。体感の話になりますが、ボコボコの斜面で、硬い板だと衝撃をすべて拾ってしまう感じがあります。柔らかい板だとボコボコしていても、うまく地形に馴染んでいる気がするんですよね」

フリースタイラーとしてのスタンスへのアプローチ

マナトさんのスタンスへの考え方は、競技者の考え方とは異なります。

「スタンスを考えるうえで、滑りやすさは絶対に必要だと思うし、大事だと思いますが、自分的には見た目のシルエットだったりとか、表現者として大事な部分を重要視したいと思っています。自分たちは競技をやっている人たちとはスノーボードの捉え方が少し違うかもしれません。アスリートという感じではないように思います」

千葉真人が考えるスタンスの本質

「スタンスって数値だけじゃないと考えていて、どうやって自分のスタイルを表現できるかが大事だと思っています。数値的な話も大事ですが、それよりも自分が滑ってみてしっくりくるかどうかですよね。自分たちはコンペティションのためではなくて、楽しむために滑っているので、自分の感覚や見た目のシルエットを重視しています。スタンスも自分を表現するための一つの手段かなと思っています」