「スタンスは滑りに直結する」世界で活躍する長谷川帝勝のセッティングとは┃STANCE. LAB LIBRARY Vol.4

「スタンスは滑りに直結する」世界で活躍する長谷川帝勝のセッティングとは┃STANCE. LAB LIBRARY Vol.4

yukiyama

2024.04.23

毎月、スタンスにまつわる話を特集するSTANCE.LAB LIBRARY。連載4回目は、X Games Aspenのビッグエア優勝が記憶に新しい、世界トップレベルのプロスノーボーダー長谷川帝勝さんに自身のスタンスについて話していただきました。

X Games Aspenにて

はじめに:シーズンを振り返ってみて

「いい部分もあれば悪い部分もあった年だったな」という率直な感想ですが、ずっと目標にしてきたX Games Aspenのビッグエアで優勝できたのは、すごく自信になったし嬉しかったです。シーズン終盤はイベント系がメインなので、楽しみながらやっていこうと思っています。

X Games Aspenビッグエアの表彰

世界を制する長谷川帝勝のスタンスと考え方

身長は159cmです。スタンス幅が52cmくらいで、アングルは12°、−12°の左右対称です。ビッグエア、スロープスタイルでは全方向均等に技ができるべきなので、スイッチもレギュラーも分け隔てなく滑れるようなセッティングを意識しています。普段からトレーナーさんにも「左右均等にしたい」という話をしていて、左右のズレや得意・不得意をなくすような形にしています。基本的にバランスが悪いのが好きではないので。

───自分でスタンスを意識し始めたのはいつくらいでしょうか

中学校2〜3年生の時くらいですね。その辺りから頭で考えてスノーボードをするようになりました。その頃から「どのポジションが動かしやすいか」を意識して練習していて、それが今のセッティングに繋がっています。

スタンスへの意識の高さ

シーズン中だと海外に行っていることが多いので、頻繁にSTANCERで数値を測れないんですが、立山キングスにはSTANCERが常設されているので、測れる環境に居るときは頻繁に測っています。基本的にはSTANCERで測った可動域と左右対称のバランスが取れた数値がでているかを常に意識しています。それが具体的なアングルでいうと、12°-12°だったりとか、15°-15°みたいな数値ですね。

武藤コメント(帝勝は小学生の頃からSTANCERを使ってセッティングと体の調子を合わせてきました。ビッグエアやスロープスタイルだと技に偏りがない状態にしなければならないので「均等なセッティング」へのこだわりはその頃から強かったと思います。)

昔からSTANCERで計測をしている

───トップレベルの競技者は一般的に左右均等なセッティングなのでしょうか

武藤コメント(それはバラバラです。もともと左右均等の身体であればセッティングも、そのまま左右対称でいいですが、人によっては偏りがあるのでスタンス角度・幅のセッティングで均等にしていくイメージです。体のバランスは人それぞれなので、その人に合わせた調整が大事です。)

大事な大会でのスタンスの調整

前日の練習段階で、スタンスなどの板周りのセッティングは決めてしまいます。出走直前に変えたりすると慣れるのに時間がかかったりするし、ズレが出る可能性もあるので、よくないと思っています。事前に決めたセッティングに対して、意識と身体の違和感がなくなるように合わせていく感じですね。

プロフェッショナルな意識と身体の調整

基本的にトレーニングは自重や柔軟系が多く、ウェイトトレーニングはほとんどしていません。年齢的にも身体がまだ成長過程で、そこに重い筋肉つけてしまうと成長の妨げになる可能性があるので、可動域を広げることを重要視しています

───具体的にはどのようなことをしているのでしょうか

可動域を意識した柔軟を毎日必ず滑る前に行います。それは自分のルーティンみたいな感じになっていて、具体的には股関節を回したり、肩・腰を回したりとかですね。体の軸を意識してストレッチポールやボールも使って入念に行います。時間としては毎朝、1時間半くらいかけていますね。

───そこまで入念にすると、かなり早起きをしなければならないですよね

はい。自分は時間に余裕を持ちたいタイプなので、8時に出発することが決まっていれば、5時には起きて、まずシャワーを浴びて目を覚まします。そこからストレッチをして朝ごはんを食べて、少しゆっくりしてから着替えて、スキー場に向かうみたいな感じです

───ここまでお話を聞いて、プロフェッショナリズムをすごく感じました。

長谷川帝勝にとってのスタンスとは

スタンスによって体の動き方が変わってくるので「スノーボードの滑りに一番直結してくるもの」だと思います。その中で、ぼくはセンターに乗って左右対称にすることが好きですが、人によっては違和感があったりするので、結局は自分に合っているスタンスを見つけるのが大事だと思います。

───そのスタンスはどうやって見つけたらいいでしょうか

それこそSTANCERを使って、その分析を元にアレンジするのが近道だと思います。あとは上手い人のスタンスを参考にしたり、滑りながら自分の感覚と照らし合わせて探求してみてください。