「スタンスはギア選びと同じくらい重要」江端翔兵の繊細なセッティングとは丨STANCE. LAB LIBRARY Vol.3

「スタンスはギア選びと同じくらい重要」江端翔兵の繊細なセッティングとは丨STANCE. LAB LIBRARY Vol.3

yukiyama

2024.04.02

毎月、スタンスにまつわる話を特集するSTANCE.LAB LIBRARY。連載3回目は、主にグラトリで活躍されていて、自身のブランドCROOJAも手がけているプロスノーボーダー江端翔兵さん(以下:江端さん)にスタンスについて話していただきました。

現在の活動とスタンスについて

滑りとしては大きく分けるとグラトリをメインにしています。その中で、グラトリをスノーボードのターンや、滑りの流れの中でなるべく速いスピード域で組み込んでいくような滑りです。それを自分のスタイルとしてやっているって感じです。活動としては、グラトリやプライベートのレッスンをしたり、YouTubeでHow To動画を配信したり、スノーボードの楽しさを伝える活動をしています。

江端翔兵さん

操作性を重視

昔はグラトリって結構広めなスタンスが多かったんです。ぼくは身長163cmで、58cmくらいの幅でした。このスタンス幅は、今のグラトリのトレンドから考えるとありえないくらい広いスタンスです。最近の主流はスタンスは狭めで、操作性を重視したポジションです。ただ狭すぎるとトーションが使いにくくなったりするので、そのバランスを見つけることは大事ですね。バランスやポジションを自分で見つけるところは、ギア選びに似た感覚があります。

狭めのスタンスへの移行

はじめは幅が広めのスタンスでしたが「板のトーションをうまく使いたい」と思うようになり、スタンスが狭くなっていきました。一番狭いときで50cmくらいまで狭くしたことはありますが、逆にトーションが使いにくくなってしまったので52cmに落ち着いています。STANCERでもほぼ同じ数値がでてましたね。

感覚が大事なグラトリとスタンスの関係

スタンスは1cm単位でいいところを常に探しています。ぼくの場合は、速度域が速めのグラトリがメインなので、狭すぎると不安定な感覚がありします。大きく分けるとグラトリではあるんですが、その中でもいろんなスタイルがあるので、自分がやりたいことに合わせて調整が必要です。

江端さんのこだわり

ぼくのこだわりはシーンを選ばず楽しめるセッティングにすることです。メインはグラトリですが、キッカーを飛んだりパークに入ったりいろんなことをしたいので、マルチに楽しめることを重視しています。STANCERで出た数値を基準にして、何度も調整を繰り返しましたね。具体的なスタンスでいうと、スタンス幅が52cm、前+9°後-6°です。

STANCERの数値は基準

以前は「前6°後ろ-6°とか前9°後-9°とか左右対称じゃないとダメだ」みたいな固定概念がありました。はじめてSTANCERをやった時に、左右対称ではないアングルの数値が出て、素直に試してみたらかなりしっくりきたんです。変な固定概念にとらわれるとダメですね。STANCERが気づかせてくれました。

───素直にデータを受け入れるタイプなんですね

STANCERのような新しいものに対して、好奇心が旺盛なんですよ。試してみたくなるんですよね。「気になったことは素直にやってみる」ということは大事にしていて、それが滑りを変えてくれることがあります。

───最後は感覚で調整していくんですか

感覚ですね。片足に乗って板を踏んだ時の板への力の伝わり方とか「スピードが出た時にやられそうだな」みたいな想像もしながら、違和感のないセッティングを探します。そのセッティングの数値がスタンス幅52cm、前9°後-6°だったんですよ。

やっぱりSTANCERの数値はセッティングの基準になります。基準を知って、そこから調整していくのが一番効率がいいですね。「スタンスをどうしたらいいですか」と聞かれたら、宣伝とかではなくて、STANCERを勧めてます。「とりあえず一回STANCERやってみな」って言ってますね。

武藤コメント(グラトリはパークと比べると比較的低速域なので、滑べり手の乗り方で板の性能を最大限に引き出す必要があります。グラトリの方々はとくにセッティングを試行錯誤している印象がありますね。)

スタンスはギア選び

スタンスはギア選びとほぼ同じです。スタンスを変えると「板が変わったのかな」というくらい感触が変わったりします。例えば、スタンス幅を52cmから48cmにしただけでキャンバーっぽくなったりしますし、ぼくが手がけているCROOJAの板もアングルやスタンスで板の乗り味が変わります。板の硬さの感じ方はとくに変わりますね。セッティングを変えることで「この板にこんな側面があったのか」と気付けることもあるので、それはギア選びと同じくらい価値があることだと思っています。スクールでもスタンスとセッティングのアドバイスもしていますよ。

最近はレッスンでブーツの中での足の握り方までアドバイスしています。グラトリってほぼ自分の動作のキッカケでトリックをするので、繊細に足のパワーを感じて滑ったほうがいいのは間違いないです。

───最後に江端さんにとってのスタンスを教えて下さい

スタンスを含む足回りのセッティングを変えるだけで、今持っている板の違う一面を感じられるので、ほぼ新しいギア選びと同じですよね。これはどのジャンルでも同じようなことが言えると思うので、ぜひ色々試してみてください。

「スタンスは新しいギア選び」名言です!ありがとうございました。