
「本を売るならブックオフ」として知られるBOOKOFFですが、実は創業から35年の歴史の中で、約25年にわたってスポーツ用品のリユース事業を展開しています。全国49店舗で展開するスポーツ用品部門において、ウィンタースポーツ用品は特に力を入れている主力カテゴリーです。今回はウィンタースポーツ用品のリユース事業について詳しくお話を伺いました。
リユースを通じたウィンタースポーツの裾野拡大
「我々はウィンタースポーツのリユース市場におけるパイオニアだと自負しています」と語るのは、リユース商品部の佐藤さん。25年の歴史で培ったノウハウを活かし、商品の状態やブランド、モデルなど様々な要素を考慮した適正な価格設定を行い販売。近年は良質な商品、高スペックの商品が増加傾向にあり、お客様のニーズも少しずつ変化してきているそうです。
「初心者の方の入り口の一つとして選んでいただき、次のステップでプロショップで新品を購入していただく。そういった形で業界全体が盛り上がっていけば」と、市場全体の活性化を見据えた展開を行っています。
ジュニアアスリートの支援と大会運営
2018年からは、ジュニアアスリートの支援にも注力。「頑張っている人がしっかり光を浴びられる」という企業理念のもと、若手選手のサポートを開始しました。
「トレーニングがしっかりできる環境づくりや、雪山に行かなければできない環境での金銭的な苦労がネックにならない世界を作っていきたい」という想いから、全日本ジュニア選手権大会のサポートも行っています。ウィンタースポーツ以外の競技の大会協賛の経験やノウハウもアスリートの支援に活かされています。
カザフスタンでのリユース事業展開
2021年からは、新たな取り組みとしてカザフスタンでのリユース事業を開始。日本で売れ残った商品に新たな価値を見出し、輸出することで、年間10〜20トン以上の廃棄削減に貢献しています。
カザフスタンは都市部から30分圏内にスキー場があり、気温がマイナス15度、時にはマイナス40度にもなる寒冷地。多くの人がウィンタースポーツを楽しむ国です。しかし、現地での新品価格は日本と同程度にも関わらず、一人当たりGDPは日本の約3分の1。そんな中、BOOKOFFは3,000円〜5,000円という手頃な価格帯で良質な中古用品を提供し、現地の方々から好評を得ています。
「将来的にはカザフスタンからオリンピック選手が出てくれれば」と期待を寄せます。さらに、中央アジアの他の国々への展開も視野に入れており、より多くの地域でウィンタースポーツの普及に貢献することを目指しています。
ウィンタースポーツを始める入口のような存在に
「まだまだBOOKOFFがスポーツ用品を扱っていることを知らない方も多いので、より多くの方々に知っていただくことをまずは目指しています」と佐藤さんは語ります。
中古用品の提供によるウィンタースポーツの間口を広げる活動、若手選手の育成支援、そしてグローバルな展開を通じたウィンター用品市場の拡大。BOOKOFFは「スキー・スノーボードをはじめる最初のきっかけがBOOKOFFだった」という方を増やしていけるよう、ウィンタースポーツの未来を見据えた取り組みを続けています。
レンタル品の再活用を目指したyukiyamaとの提携
2022年からは、「yukiyama」を運営する株式会社ユキヤマと提携し、新たな取り組みをスタート。スキー場でレンタル品として使用されたウインター用品の買取サービスを展開しています。
これまで多くのスキー場では、シーズン切り替え時や一定期間経過後のレンタル用品を廃棄処分していました。しかし、これらの中には十分に使用できる製品水準を維持している物が多いのが現状です。現在では全国20スキー場と連携し、レンタルアウト品回収等の現地イベントを開催。この取り組みを通じて、売るだけではなく、リユース市場を活用した循環型社会作りとSDGsへの貢献も目指しています。